OSSで多言語サイトのスターターテンプレートを作って公開しています。
Astro i18n Starter
このプロジェクト内で、地味に悩んだのがフォントをどうするかという話です。多言語サイトでは日本語・英語・中国語などを1つのページにまたがって混在させることがほとんどなので、書体選びの基準が普通のサイトとちょっと変わってきます。
検討した候補や、最終的に選んだフォントをまとめておきます。
システムフォントにまかせる
まぁ、これが一番楽です。
サイトを見ているユーザーの端末には当然母国語のフォントが入っているわけで、CSSの font-family でOSの標準フォントを並べておけば、それぞれの環境で適切な書体が表示されます。Webフォントのダウンロードコストもゼロ。
font-family: -apple-system, BlinkMacSystemFont, system-ui, sans-serif;
ただ、当然意図しないスタイルのフォントになる可能性もあり、ブランドの一貫性も出せません。
Alibaba Sans (当サイトで採用)
阿里巴巴普惠体
このブログで採用したのがこのフォントです。Alibabaが無償で公開している多言語対応フォント で、商用利用も無料。Alibabaは中国の大手テック企業で、最近は B2B プラットフォーム向けなど企業向けの事業も大きい。そのコーポレートブランドとしてのフォント戦略の一環として、このフォントを世界中に無料で提供しているわけです。
対応言語と規模の圧倒性 がこのフォントの最大の特徴です。ラテン文字を中心に 178言語をカバー していて、中国語(簡体・繁体)・日本語(ひらがな・カタカナ・漢字)・韓国語はもちろん、アラビア語・ハングル・タイ語・ベンガル語など、アジア圏の主要言語をほぼすべてカバーしています。
書体としての特徴は、独特のR(角丸) が全言語で一貫して使われていることです。漢字でもラテン文字でも角の処理に統一感があるので、ページの表示言語を切り替えても「別の書体に変わった」という違和感がまったく発生しません。

実際にこのサイトで表示言語を切り替えてみると、書体の一貫性が伝わると思います。ぜひ試してみてください!
Noto Sans
Noto - Google Fonts
多言語Webフォントの 王道 がNoto Sansです。GoogleとMonotypeが共同で開発した、Web向けに作られた巨大フォントファミリー。

名前の由来は「No Tofu」、つまり 「豆腐(=文字化けで表示される白い四角)を世界からなくす」 という野望のもとに作られています。現在では 150以上の書記体系・1,000を超える言語 をカバーしていて、文字通り「地球上のあらゆる文字を1つの書体で表示できる」状態を目指したプロジェクトです。
ライセンスはSIL Open Font Licenseなので、もちろん商用無料。迷ったらこれでOKです。ただあまりにも定番なので、特色は出しづらいです。Serif体であるNoto Serifも選べるのが嬉しい。
ちなみに日本語版は Noto Sans JP、中国語簡体字版は Noto Sans SC のように、言語ごとに別ファミリーとして提供されています。Google Fontsから言語ごとに読み込む構成が一般的ですね。
LINE Seed
LINE Seed
LINEヤフーが自社のコーポレートフォントとして公開している書体です。日本語版の LINE Seed JP は最近Google Fontsでも無料公開されて、商用利用もできるようになりました。
LINEヤフー、コーポレートフォント「LINE Seed JP」をGoogle Fontsで提供開始|LINEヤフー株式会社
対応言語は 日本語・英語・韓国語・繁体字中国語・タイ語 の5つ。LINEが展開しているアジア圏のサービスを意識した構成ですね。簡体字が無いのが残念・・・。
字形は 少し丸みのある親しみやすい雰囲気 で、UI寄り・SNS寄りのコンテキストによく合います。LINEブランドで全言語を統一して作っているおかげで、各言語のテイストの揃いっぷりはかなり良いです。

ライセンスはSIL Open Font License 1.1で条件は緩めですが、あくまでもLINEという企業のコーポレートフォントではあるので、使う場面は選んだほうがいいですね。
まとめ
ざっくり整理するとこんな感じです。
- 軽さ・実装コスト重視 → システムフォント
- 対応言語の幅とデザインの一貫性 → Alibaba Sans
- 王道で迷いたくない → Noto Sans
- 親しみやすさ・モダンなUI寄せ → LINE Seed
このブログでは最終的にAlibaba Sansを選びました。対応したかった言語をひとつの書体でカバーでき、独特の特色を持つ見た目がブログのトーンとも合っていたのが決め手です。
サイトのメニューから言語を切り替えると、書体の見え方が一発でわかると思います。気になったらぜひ。